『むすび』とは

折口信夫©️『産霊の信仰』より抜粋

“ 結び ”という言葉は “ 産霊(むすび)”とも書きます
この “結び ”の語源である“産霊”とは日本神道
おける重要な概念です

“ 産(むす)”は生じる“ 霊(ひ)”は神秘的・霊的な働きを示します
つまり“産霊”とは天地の万物を生み出す霊的な
働きのことを言うのです

もうひとつ、むすびには“水を掬ぶ(むすぶ)”という
イミがあります
(=水を両手ですくって飲む動作のこと)

日本古代信仰では水の中に霊魂を入れて、それを
飲むことで体と霊魂を結合させるイミがありました
水の掬びの信仰は今では廃れてしまいましたが、
このような動作を現在でもむすぶと呼びます

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しめ縄(注連縄)のイミと由来

神さまをお祀りするのにふさわしい神聖な場所
というイミ
神界と現世(うつしよ)を隔てる結界の役割
厄や禍(わざわい)を祓うイミもあり、
また神さまがそこに宿る印とも言われる

鳥居
神さまの降りる神域に依代として設けられた
(古来鳥は魂を運ぶ聖なるものという信仰があり、
鳥のいる場所というイミもある)

神道には教典はなく昔は信仰を言葉で説明
しようとする者がほぼいなかった

神さまの存在は五感で自ら感じとるものであり、
その教えを説く神さまの声は意識できくもの
という考えが一般的であった